台場クヌギ

さて、台場クヌギです。

メールをいただく方の中にも、台場クヌギを知らないという方、結構いらっしゃるようです。

北摂の里山なら、どこにでもあるといっても良いのですが、最初にこれがそうだよ、と他人に教えてもらわなければ、そういう目で見ないし、記憶にも残っていかないのでしょう。

私もそうでした。





三草山

北摂の風物詩ともいえる、
台場クヌギです。



最近では、シイタケのホダ木を取ることもあるようですが、
クヌギは炭を作るための原木です。

北摂の地域は、お茶に使われる炭のも中でも、ブランド的な「池田炭」や「一庫炭」という名で有名な「菊炭」の産地でした。
その原木を得るために植えられたクヌギがこのあたり一面に広がっていました。



妙見山

私は、大正年間の地形図を持っていますが、
北は妙見山、西は鳥脇山、東は五月山まで、
一部の山を除いて、ほとんどが広葉樹林の植生マークになっています。

炭焼きは、この辺の基幹産業だったことがわかります。


妙見山

人の手によって植えられた、クヌギの原木は8〜10年周期で、直径10pくらいになった木を輪伐します。

その年伐採するエリアの8〜10倍のエリアを確保しておき、順番に伐採していくことを、輪伐というらしいです。




妙見山
伐採された切り口からは、新しい幹が何本か成長します。

それを繰り返すと、その木は地面近くの幹が異常に太くなります。また、あまり高木にならずにひねくれた幹が広がり、樹洞が発達した奇怪な姿となります。



猪名川町

鹿による食害を防ぐために、
大人の頭より高い位置で
伐採することもあります。

そういうのに出会うと、
大入道が両手を上げて立ちはだかっているかのようです。



猪名川町

私は、大阪府池田市に生まれました。

私の子供の頃は、
家の暖房といえば、まだ炭火鉢であり、商店街にはまだ氷屋と同じく、当たり前のように炭屋もありました。

炭の香りや、かんてきの扱いなども記憶の底には、まだ沈んで残っているようです。



・・・忘れた。


しかし、燃料としての炭は
すたれていき、現在ではごく一部を除いて、ほとんど使われなくなっていきました。

そして、里山には台場クヌギが残りました。

従事者の高齢化もあり、台場クヌギは放置されてしまいました。

ここに掲載した台場クヌギの写真のほとんどは、長らく放置されたものが多いです。

台の上から生えている枝の太さを見てください。


妙見山

また、台場クヌギには樹液に溢れた洞が出来やすいことから、多くの昆虫のすみかとなっていました。

特にオオクワガタは有名です。




猪名川町

この写真はご愛敬ですが、
台場クヌギにすむオオクワガタを専門にターゲットとするオオクワハンターという人たちも存在します。

北摂の山を歩くと、オオクワハンターの人と出会うこともあります。

彼らのオオクワガタにかける情熱は、全く持ってして脱帽ものです。
こちとら気力体力ともに、フツーのオトーサンにとっては異次元の存在ですな。




ともかく、台場クヌギが北摂地方の風物詩であることには、違いありません。

どこに行ってもあるというのが、正直な感想です。

ハイキングコースや神社、旧道、農道・・・どこでもいいから、車から降りてちょっと歩いてみてください。

放置されているとはいえ、まだたくさんの台場クヌギがあることに気づかれるでしょう。


能勢

現役の台場クヌギの畑のような場所もあります。

妙見山や一庫公園の近くなどに、残っています。



けやき坂

県立人と自然の博物館では、展示物として台場クヌギがあります。

また、一庫公園内では、台場クヌギの再生実験もしています。



黒川
詳しい場所をここに公開することは、いろいろな理由から避けたいと思いますが、本当に北摂にはどこでも見られます。

すこーし、足の向きを変えるだけで、以外に近くにもたくさんあることに気づくと思います。


黒川
シーズン中、雑木林の帰りにちょこっと台場クヌギを覗くのも楽しいですし、
シーズンオフに台場クヌギを探し求めて山歩きするのも、また楽しです。




忘れた・・・・・。
そんなことをしていると
時々、雑誌に載ったアノ木や、昆虫のサイトでみかけた木に出会うこともあります。

それも楽しいものです。



阿子谷

この木も有名な木で、
ハイキングコース上にあります。


もちろん、超有名地 三草山にもたくさんの台場クヌギがあります。


多田の神社 境内

このページの文章の多くを、息子の夏休みの自由研究を参考にさせていただきました。

Special thanks to my son.