蠅  ハエ   米映画 1986年作「THE FLY」より        ★★★★★   
 

みなさん、昆虫映画館のお時間です。

今宵はあのデヴィッド・クローネンバーグ監督作品の「ザ・フライ」です。
昆虫映画館も13本目にして、いよいよ真打ちの登場でございますね。

何が凄いかってアンタ、世に気色悪い系や変態系の映画は数あれど、この監督は自身が本物の変態でございます。
私は「スキャナーズ」や「ビデオドローム」の頃からのファンですが、以降「戦慄の絆」「デッドゾーン」「クラッシュ」「裸のランチ」等々一本も正気の映画がありません。

その変態映画群の中でも特にお気に入り「ザ・フライ」をご紹介します。

初めにネタバラシしますが、この映画は1958年作「蠅男の恐怖」のリメイクです。
この映画、怖かったですねぇ。
私は子どもの頃にTV放送されたのを見て、虎馬になるほど怖くて、印象に残っています。




さて、これが主人公のJ.ゴールドブラム演じるセス・ブランドル博士です。

既に顔がコワイですね。
はい、お気づきの通りこの方は『ジュラシック・パーク』『インデペンデンス・デイ』にもちょっとクセのある役で出演していました。




で、これがヒロイン役のジーナ・デイヴィスです。
科学誌の記者役ですが、モンロー風メイクのユルイ感じが色っぽいデスね。
後年、リドリー・スコット監督の「テルマ&ルイーズ」で一気に有名になる前の出演です。




はい、これが例のテレポッドです。

要するにファクシミリの3D版といいましょうか、実物体の電送実験をやってるんですね。
理由が映画の中で説明されますが、車酔いするタチだからという、なんともオソロシイ理由です。

最初の実験では、実験体の狒々(猿)が出力側のポッドの扉を開けると、
身体の内外が逆になって電送されるという衝撃的なシーンもあります。
(あまりに気色いビジュアルなので画像はやめときます)


しかし、あるキッカケを境に生体実験に成功するのですが、酔った勢いから自分を試験体として電送してしまいます。
ですが、その送信側ポッドの中に1匹の蠅がいたことから、恐ろしいことが始まります。
この辺の蠅の描写もコワイですねぇ。


初めのうちは、気力体力が充実し、鉄棒の車輪や怪力を発揮するのだけでしたが、段々とハエ化していくのですね。




背中に剛毛が生えたり、歯が抜けたり耳が落ちたり溶解液を口から出したりと、
この辺の変化を微に入り細に入り描写していくのは、正に変態のなせる業です。

当時はCGも当然無く、特殊メイクやマペットでこれでもかという位にやってくれます。
この作り物の出来は傑作「遊星からの物体X」と双璧をなすものと信じます。




これが第2段階です。まだなんとか人間らしさを保っています。
(見ようによると東野英二郎に似ていなくもない)


で、この辺りでヒロインの妊娠が判明し、見るもおぞましい悪夢のシーンとなります。
この出産シーンに医師として出演しているのが何を隠そう監督のクローネンバーグです。
ホンマ、変態です。




アメリカでビデオが出たとき、妊婦には見せないよう注意書きがあったとか・・・・・。


こっから博士は恐ろしい行動に出ます。

自身のハエ化を少しでも遅らせようと(薄めとようと)ヒロイン+おなかの子どもとの合体を図ろうとします。




はい、これが第3段階です。

第2段階の表皮を破って、中からほぼハエ化したブランドルが現れるのですね。コワイですね。
これは羽化でしょうか? それとも脱皮でしょうか?


しかし、あわやというところで邪魔が入り、博士はなんとテレポッドそのものと融合してしまいます。
これがその第4段階の姿です。




物語は「フランケンシュタイン」などの怪物ものの御多分に漏れず、悲劇的な結末を迎え幕を閉じます。


音楽も時代がかった大仰なやつで、とても素晴らしい。

キモチワルイ系の好きな方には、是非オススメです。

★★★★★

追記 この映画、続編があります。出来はイマイチですが、そう、二世が生まれるんですね。