ゴキブリ・ミイデラゴミムシその他多数! 日本映画 2016年作「テラフォーマーズ」より

 さて、久し振りの昆虫映画館であります。

今回の上映は「テラフォーマーズ」。

御多分に漏れずこれも原作はコミックスで、監督はアノ三池崇史です。
このヒトはある種職人監督で依頼は断らないのか、時々大外しもある映画ファンのブラックリストに載る有名人。

しかし、ま、邦画SFも昨今はレベルが向上著しく、若干の期待もありつつ見ました。



舞台は2059年ですが、このビジュアルです。
ハリウッドの古典的SFそっくり、登場する乗り物まで同じで、ん?スピンオフなのか、と勘ぐってしまうような危惧感で私は一気に土俵際です。

オハナシは人口爆発により火星へ移住するため、その環境改善目的で持ち込んだゴキブリが異常進化し、
そいつらを駆除するというフマキラーなストーリー。



こいつらがその「テラフォーマーズ」です。

茶色です。
ひょっとしたら「チャバネ」を持ち込んだのかな?

しかも、目が前に並んで付いています。どんだけ進化したのでしょうか?



メンバーが到着するとまず、超強力バルサンのようなヤツ四方に発射しますが、当然耐性が出来てて利きません。





で、こっからそのメンバーとの戦いとなるのですが、彼らには昆虫のDNAが組み込まれており、薬剤を投与すると一気に昆虫化し、
その能力を持って戦うというのがこの映画の見せ所となっています。

仮面ライダーかっ、というお叱りの声もなく、台詞にもありましたが、「虫をもって虫を制す」という強引な方向で物語は進みます。


ではまず最初のヒト。

変身する昆虫はなんと『ミイデラゴミムシ(三井寺歩行虫)』です。

虫屋なら当然ご存知でしょうが、世間的には結構マイナーではと思われる昆虫がトップバッターです。

いわゆる「へっぴり虫」と言われている虫でございます。
外敵に対して尻から高温のガスを噴出して戦闘意欲を喪失せしめるという特徴があります。




これがミイデラゴミムシ。

変身前には理科の番組みたいに、ちゃんと昆虫の姿を出して能力の解説があります。とても分かりやすい。

私の師匠が採集されてましたので知ってましたが、残念ながら私は実際の「ぺっぴり」を見たことはありません。




で、これが変身後のお姿。 役者はケイン・コスギです。

このヒトを皮切りに、ストーリー上次々に変身していくわけですが、

オオスズメバチ、カイコガ、サバクトビバッタ、ネムリユスリカ、パラポネラ、ハナカマキリ、エメラルドゴキブリバチ、ニジイロクワガタ、ゲンゴロウ、オケラと

昆虫好きなら本で読んだりして知識的には知ってる特徴のある昆虫たちがズラリと登場します。


 色々と昆虫が登場する映画はありますが、こんだけ沢山の種類が一度に出てくるという意味では古今東西この映画が最高です。

虫屋としては、昆虫の扱いというか、能力の出し方というか、その辺に納得いかない部分(その辺は見ていただければ分かります)もあり、
原作者は昆虫にも造詣が深いのかも知れませんが、無理矢理という印象も捨て切れません。

ま、突っ込み所は満載で不満も沢山ありますが、邦画で昆虫を前面に押し出したということで記憶に残る映画でありました。



★★