5本目 台場クヌギ 日本映画 1965年作「怪談」より                           ★★★★
   
今回も古い映画で 恐縮です。
1965年作 小林正樹監督作品 「怪談」 です。
流石にこれは、私もリアルタイムでは見ていません。

え、何?

この映画、昆虫なんて出てこない?
はい、その通り、よくご存じですね。
でも、昆虫に関係するものが 登場するのです。

映画は オムニバス形式になっています。
怪異譚のオムニバスというと、ロジェ・ヴァディム、ルイ・マル、フェリーニがそれぞれ監督した
「世にも怪奇な物語」がありますが、
これは 小林正樹のこの映画「怪談」にインスパイアされたものと思われます。
   
この映画、ある種 日本映画の到達点を示す 究極の作品と思います。

何が すごいって アンタ その美術セットは ハンパではありません。
小泉八雲 つまり ラフカディオ・ハーン の話を原作としています。

「黒髪」「雪女」「耳無し芳一の話」「茶碗の中」 の4話です。

どれも映画としては凄いのですが、ここで取り上げるのは 2話目に登場する「雪女」です。

 
お話は皆さんご存じの 雪女のお話ですが、私が注目したのは 雪女が 仮の姿で人間の女房として暮らす その里山の 風景です。

これだ。
 
墓参りする 女房のうしろに広がるのは、紛れもない 『台場クヌギ』である。

台木 には クヌギだけではなく、スギやその他あると聞いているが、これは 間違いなく 『台場クヌギ』であろう と思われる。

北摂の里山では どこでも普通に見らる 『台場クヌギ』である。
しかし、映画で見るのは、 私も 初めてである。
   
雪女 の舞台は たぶん 越後の国と思われるので、
あっちにも 『台場クヌギ』があるということである。

しかも、これ セット なんである。

監督か 美術監督が 『台場クヌギ』の存在を知っていて、
運んできたか 作ったか したのである。

この広さ デアル。 

そーとーのモンである。 

今の 日本映画では 信じられない規模である。

当時の 日本映画の 底力を 感じずには おられない。
   
モニュメント的な作品であるので、一度は見ていただきたいが、子供向けではない。

★★★★☆