紅星薄羽白蝶 アカボシウスバシロチョウ  東宝映画 1958年作 「東洋の怪物 大怪獣バラン」より     ★★
 
「東宝パンスコープ」なんてこの映画だけかも
しれません
 さて、樹液映画館 記念すべき オープニングの映画である。

何にしようかと、考えましたが、
やはり「大怪獣バラン」にしました。

私が子供の頃は、週末だけでなく平日も午後TVで映画を放映していました。

おかげで、1時間20分くらいに跡形もなくズタズタにカットされては
いたものの、旧作をたくさん観ることが出来ました。


これもそうした中でTVで観た映画です。なにせ1958年の作品です
 
捕虫網を振るときの、
この腰の入れ方は今も昔も変わりません
 いわゆる怪獣映画なのですが、冒頭に昆虫採集のシークエンスがあります。

日本のチベット(死語やなあ)と言われる北上川上流で、
中学生がシベリアにしか棲息しないという「アカボシウスバシロチョウ」を
採取した。
その情報を入手した大学の生物学研究室の二人がさっそく現地へ赴き、
採集することになった。しかし、その二人は地図にもない湖で
採集に成功するも、巨大な生物に襲撃された・・・・・。


こんな始まり方をします。
日本のチベットという謎めいた奥地の様子を、「婆羅陀巍山神」や
伊福部昭の音楽で、雰囲気たっぷりに描いたこの冒頭の部分は、
当時子供だった私に強い印象を残しました。


そして、ほとんど命がけの探検のように昆虫採集に行く大学研究室の
研究者を観た私は、昆虫採集のその奥には、学術的なアカデミックな
世界があるのだ、と理解をしてしまいました。

 
映画では、モノクロのため判別できませんが、
後翅の4つの点が赤い色をしています
 この映画に登場する「アカボシウスバシロチョウ」ですが、
私はまるで呪文か何かのように丸憶えしてしまいした。
蝶といえば、モンシロチョウかアゲハチョウくらいしか知らなかったころです。この難しげな名前だけでも、とても魅力的な蝶のように思えたものでした。


当然、架空の蝶だと思っていました。

ところがです。「アカボシウスバシロチョウ」は実在する蝶だったのです。
大陸や朝鮮半島に生息するアゲハチョウの一種だと知ったのは、
恥ずかしながらごく最近のことです。
 
お約束の破壊シーン
ゴジラのように巨大ではなく、25m
くらいだろうか、中途半端に大きいので
ミニチュアも大きくリアルである。
後半登場する羽田空港もミニチュアという
より巨大なセットである。
 この映画は、アメリカのTVムービーとして製作されたということです。

そのため予算的に苦しかったのか、スケール感に乏しく、
また、アメリカでの放映は60分番組だったのか、映画としてみると
内容の割には冗長で、しまらない出来となっています。


午後のズタズタカット放映で、長さとしてはちょうど良かったのかも
しれませんね。


しかし、それでもなお、
オープニングの「アカボシウスバシロチョウ」の採集は、
小学生だった私に、強烈な印象を残したのでした。